p_tan's blog

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ユーザビリティにおける探索/実行モデル

ソフトウェアに限らず、何らかの道具のユーザビリティについて、探索/実行モデルというものを考えている。 ユーザビリティ研究において、もっと整理された理論がきっとあるのだろうが、見つけられていない。

前提

  • 人は、何らかの目的を達成するために、手段として道具を使う

探索/実行モデルとは

道具を使う時間を探索フェーズと実行フェーズに分類する。

  • 探索フェーズ : 道具の使い方を探す段階。使い方を検索したり、マニュアルを読んだり、GUI上でボタンを探したりするなど。道具で目的を達成するために、本質的には必要のない部分。
  • 実行フェーズ : 目的を達成するために、道具を操作する段階。ボタンを押したり、コマンドを打ち込んだりするなど。道具で目的を達成するために、必ず必要となる部分。

探索フェーズ、実行フェーズにかかる時間をそれぞれ、探索時間、実行時間と呼ぶことにする。

探索/実行モデルから見た道具への習熟

道具への習熟は、探索時間が短縮されること、と説明できる。

  • 例えば、道具の使い方が分からない間は、マニュアルなどを参照するのに時間がかかるが、慣れてくれば何も見なくても使えるようになる。

  • 習熟によって、最終的には探索時間はゼロに出来る。

  • 一方で、実行時間は習熟してもゼロにはできない。

探索/実行モデルによる「使いやすさ」の評価

道具の「使いやすさ」は、その道具を使って目的を達成するまでの時間によって測ることができる。 そして、「使いやすさ」を習熟段階によって二種類に分類する。

  • 初期段階での使いやすさ : 世間一般で言われる素人向けと呼ばれる道具、または「直観的なUI」は、初期段階での探索時間が短いこと、として説明できる。
  • 習熟後の使いやすさ : 一方で、玄人向けと呼ばれる道具は、実行時間が短いこと、として説明できる。

例えば、コマンドラインユーザーインターフェース(CUI)は、未習熟の状態ではどんなコマンドがあるのか分からないため探索時間が長いが、一度覚えてしまえばコマンドを打ち込むだけで目的を達成できるため実行時間は短い。対して、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)は、画面上のアイコンやメニューにより初期段階の探索時間はCUIと比較して短いが、マウス操作や階層的なメニューの操作により実行時間は長くなる。

UI変更がユーザーに不人気な理由

UIを変更すると、習熟によって短縮された探索時間がリセットされる。そのため、UIの変更により、いくら実行時間が短縮されても、それ以上に探索時間が長くなることが多いため、ほとんどのユーザーはその道具を使って目的を達成するための時間が長くなる。よって、「使い勝手が悪くなった」と言われることになる。